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「組織に対する外部管理に関する」連邦法案第104796-8号

  • Zhurov
  • 17 мая 2022 г.
  • 11 мин. чтения

4月12日、ロシア連邦議会の下院である国家院のホームページに「組織に対する外部管理に関する」連邦法案第104796-8号(以下、「法案」という。)が掲載された。この記事の目的は、当該法案の主な規定を説明し、それによりロシア国内で事業活動を実施している日本ビジネスコミュニティに将来のリスクに関する知識を提供することである。



Ⅰ 外部管理導入の対象となりうる組織

法案第1条第3項の規定によれば、外部管理は裁判規定により次の2つの基準を同時に満たす組織に対し任命されうる。

1 当該組織を支配する者若しくは直接的・間接的に25%以上の議決権がある株式(または定款資本金の持ち分)の所有者は、非友好的な行為を行う外国との関連する者(当該外国と国籍、登記場所、一次事業の場所又は一次抽出利益の場所によって関連する者を含む)である場合、さらに

2 当該組織の活動が、経済及び民間の循環の安定を確保し、ロシア連邦の市民全体あるいはロシア連邦構成主体の市民の権利と法的利益を保護するための重大な意味を持つ場合

法案第1条第6項において上記2の基準である「重大な意味」がさらに説明されている。

外部管理者が任命できるのは次の場合である。

① 当該組織が、社会的に重要な食品及びその他の必需品又はロシア連邦法により価格の国家規制が定められた商品の生産(加工)及び(又は)販売(作業の遂行、サービスの提供)を行っていること。

② 当該組織が、自然独占の状況商品の生産(加工)及び(又は)販売(作業の遂行、サービスの提供)を実施し、さらには(又は)当該組織の地位が、ロシア連邦の独占禁止法による独占的地位であると認定できること。

③ 当該組織が、医薬品又は医療機器を含む特定の種類の製品の唯一の製造業者であること、又は国家及び地方自治体のニーズを確保するための商品、作業、サービスの調達の分野での契約システムに関するロシア連邦の法令に基づく単一供給業者登録に含まれている、ロシアに類似品がない商品の唯一の供給業者であること。

④ 当該組織の従業員数が、その都市等の労働人口の25%以上であること。

⑤ 当該組織又はその構造単位の活動の終了(機能の中断)が、人為的及び(又は)環境災害又は人の死亡、生命維持施設や輸送又は社会インフラ、エネルギー、産業又は通信施設並びにその他の社会的に重要な施設の運営停止を招く可能性があること。

⑥ 当該組織又はその構造単位の活動の終了(機能の中断)が、ロシア連邦又はロシア連邦構成主体の消費者に対し、当該組織又はその他の組織が生産する上記の商品(作業の遂行、サービスの提供)の小売価格の不安定化、不当な上昇を招く可能性があること。

⑦ 当該組織が重要なサプライチェーンに参加しており、該組織又はその構造単位の活動の終了(機能の中断)が、上記に記載するその他の組織の活動の終了(機能の中断)を招く可能性があること。

なお、経済発展省が組織する部門間委員会(以下、「部門間委員会」という。)の決定により、その他の組織も、経済と民間循環の安定を確保するために著しく重要性の基準に該当するとみなすことができる(法案第1条第7項)。


Ⅱ 外部管理導入の事由

法案第1条第8項には、外部管理を導入するために次の事由が記載されており、そのうち1つでも該当する場合、対象となる組織に対し外部管理を任命できる。

1 ロシア連邦の法令に反して、指導者、その他の管理機関及び(又は)株主(出資者)による組織の運営の事実上の停止による、組織の資産の価値の大幅な低下及び(又は)その債務履行の不可を招いた場合。

2 上記の者が、不当な活動停止、清算又は破産を招き、それに損害を与える可能性のある行為を実行している場合。

3 当該組織の活動が終了(中断)又は停止され、さらに(又は)製品、商品(実行された作業、提供されたサービス)の生産及び販売の量が大幅に減少した場合(例えば、3か月間の売上高が、過去3か月及び(又は)前年の同時期の同様の指標と比較し少なくとも30%減少した場合)。

4 外部管理の任命なしでの組織活動の継続により、上記の結果及び外部管理の任命事由の発生、及び(又は)大災害又は価格の不安定化の発生の恐れが招かれる場合。

5 上記の外部管理の任命事由を排除するために、ロシア連邦の予算及び(又は)ロシア連邦の構成団体の予算からの資金支出が必要となる場合。


Ⅲ 外部管理の機能を果たす者及びその権限等

原則として、外部管理として任命されるのは国家開発公社VEB.RFである。なお、部門間委員会の決定により、その他の者も裁判所に対し外部管理として提案されることもできる。

外部管理の権限として定められているのは、次の2種類のみである(法案第2条第3項)。

1 当該組織の株式(定款資本金の持ち分)の全部又は一部の信託管理

2 組織の指導者の権限

法案第6条の規定によれば、裁判所の決定により上記の一種類の権限から別の種類権限へ変更できる。その際に、外部管理の機能を果たす組織も変更でき、その権限を実施する期間も新たに計算される(法案第6条第5項)。



Ⅳ 外部管理の任命方法

外部管理は、ロシア連邦税務局からの申立てに基づいて、モスクワ市商事裁判所の規定によってのみ任命される。

裁判所への提訴前、部門間委員会は、当該組織が活動を行っている経済部門別の連邦執行機関長又は当該組織が所在し、若しくは活動を行っているロシア連邦構成主体の最高執行機関長の決定に基づいて決定を採択しなければならない。

外部管理任命の提訴に関する情報は、裁判所への提出日に法人、個人事業主、その他の経済活動主体の活動の事実に関する重要な情報の統一連邦官報に記載され、同時に当該申請書は組織宛てにも送信される。

法案第4条第5項の規定によれば、外部管理任命申請書の受理に関する決定は、その受領日に裁判所により採択されてから、裁判所は、準備期日を設けることなく、5労働日から7労働日までの間に審理される。

外部管理任命を拒否する事由がない場合、裁判所はその任命について決定を下し、それに対して組織の株主(出資者)は上訴できる。

申立人であるロシア連邦税務局の上申書により、裁判所は、訴訟開始と同時に、保全措置を適用できる。法案第4条第2項には、保全措置の一環として次の禁止行為が記載されている。

1 組織の資産(組織による生産又は販売されている完成品(作業、サービス)、原材料の取得、義務的な支払いの実行等を除く)の直接的又は間接的な取得、処分又は処分の可能性に関連する取引又は複数の相関性のある取引を行うこと。

2 使用者の意向により組織の従業員を解雇すること。

3 組織の活動の実施のために著しく重要である契約を終了すること。

4 組織の株式(定款資本金における持ち分)を処分すること。

さらに、部門間委員会の決定に基づくロシア連邦税務局の上申書により裁判所は、申立書に外部管理として任命するために記載する組織に対して、組織の財産(建物等)への自由なアクセス及び組織の管理機関の決定を取消しする権利を有する組織の指導者の権限を譲渡する形での保全措置を採択できる(法全第4条第3項)。

期日までに、組織の指導者又は50%以上の株式(持ち分)を所有する株主(出資者)は、ロシア連邦の領土における組織の活動を再開及び(又は)継続する義務を負う場合(法案が適用されず、当該義務を負った者に計画された株式(持ち分)の譲渡又は信託管理への譲渡に関連するものを含む。)、外部管理任命の拒否に関する申し立てることができる。なお、株式(持ち分)の譲渡又は信託管理への譲渡に係る当該取引は、外部管理任命拒否の裁判所決定の日から3ヶ月以内に実行しなければならない(法案第4条第7項)。

また、法案第5条の規定によれば、外部管理の期間中に50%以上の株式(持ち分)を所有するその株主(出資者)は、部門間委員会にて外部管理早期終了を申し立てることができる。早期終了事由とは、外部管理任命の事由を排除する義務(上記の計画された取引又は信託管理への譲渡を含む)を負うことである。部門間委員会の決定を採択する場合、ロシア連邦税務局はそれに基づく裁判所に申し立てを提出して、裁判所は外部管理終了に対する決定を下すことができる。

外部管理は18ヶ月以下の任期で任命され、その間に部門間委員会が外部管理(早期)終了に関する決定がなければ、さらに18か月間自動更新される(法案第4条第12項)。


Ⅴ 信託管理への株式譲渡を伴う外部管理の任命の特徴

組織の株式(定款資本金の持分)を信託管理に譲渡する外部管理を任命する場合、外部管理者は、信託管理者として、組織と株主(出生者)の利益のためにその株式(持ち分)の信託管理を行うことになる。当該譲渡により、信託管理契約の締結及び外部管理には証券管理活動を実施するためのライセンスは不要である。

法案により設立される信託管理の受益者は、信託管理に譲渡された株式(定款資本金の持ち分)の所有者である。

信託管理者は、信託管理に譲渡された株式(定款資本金の持分)に関して、事業体の株主(出資者)のすべての権利を行使する。信託管理者は、次の事項の決定の採択につき投票できない。

1 事業会社の清算又は再編

2 事業会社の定款資本金の変更

信託で保有する株式(定款資本金の持分)は、外部管理の債務により徴収することはできない。外部管理者は、信託管理を行う際に、株式(定款資本金の株式)を譲渡できず、株式(定款資本金の持分)の譲渡を伴う取引、又は譲渡を伴う可能性のある取引は無効となる。

信託管理から受け取った収入は、信託管理者によって開設された名目口座(その口座の開設者は、信託管理に譲渡された株式(定款資本金の持ち分)の株主(出資者)である。)へ入金される。上記の受益者は、株式(定款資本金の持ち分)の信託管理が完了した後、受益者に支払うべき収入を受け取ることができる。


Ⅵ 組織の指導者の権限移譲を伴う外部管理の任命の特徴

組織の指導者の権限移転を伴う外部管理者の任命の場合、外部管理の任命日から次のとおりとなる(法案第8条第1項)。

1 組織の指導者の権限が外部管理に移管される。

2 組織のその他の管理機関の権限が停止される。

3 外部管理任命日前に当該組織によって発行された委任状の効力が消滅する。

4 破産申立てを提出する当該組織及びその他の者の義務が停止される。

5 清算、再編、配当金の支払い(利益の分配)、株式(定款資本金)の取得と償還、定款の変更及び組織の指導者に義務的な指示を与えることに関する決定が失効する。

6 定款資本金の持ち分の実際の価格の支払い、又は組織の株式の償還に関する組織の出資者(株主)の請求を満たすことは許可されない。

7 配当金の支払い(利益の分配)は許可されない。

8 組織に付与されたクレジットにつき、債権者の一部からの請求を満たすことは許可されない。

9 ロシア連邦の法令により決定された制限に加え、組織の指導者に制限を課す組織の定款の規定は停止される(例:組織のその他の管理機関による指導者の行為に調整(承認)を必要とする規定で)。

10 組織の取引先による法定外の方法による契約履行の一方的な拒否、又は一方的な契約変更は許可されない。

11 組織との契約変更又は契約終了に関する組織の取引先の請求は、裁判所に提出されるべきである。

外部管理は、組織、その債権者、従業員及び社会の利益のために誠実かつ合理的に行動する義務がある。

外部管理はその権限を行使する際に、次の機能を実行することになる(法案第8条第4項)。

1 銀行口座内の資金等の組織の資産の処分を含む、組織の指導者の権限を行使すること。

2 組織が実施する活動の再開及び(又は)継続を確保し、組織の破産を防止するための措置を講じること。

3 組織及び職場の財産の保存を確保するための措置等を講じること。

組織の元指導者は、外部管理任命日から3暦日以内に、組織の会計及びその他の文書、印鑑、資料等を外部管理への移転を保障しなければならない。

外部管理は、任命日から3か月以内に、当事者らによって全部又は一部履行されなかった組織の契約(当該契約が、外部管理任命の目的を達成することを妨げる場合)を履行することを拒否できる。履行拒否された契約の当事者は、契約の履行の拒否によって生じた損害の賠償を組織に請求することができる。

外部管理は、ロシア連邦の法令を故意に違反した場合、又は重大な過失が原因である場合のみ、権限を行使する過程で生じた損害に対して責任を負う(法案第8条第9項)。


Ⅶ 組織の資産の代替

部門間委員会は、組織の指導者の権限を実施する外部管理からの上申書に基づいて、組織の資産の代替を実施し、組織の資産の代替の結果として設立する事業会社の株式(定款資本金の持ち分)を入札手続きにより販売することを決定できる。上記の決定がなされる場合、外部管理は、次の機能も担うことになる。

1 第三者が保有する組織の資産を検索、特定及び返却するための措置を講じること。

2 組織の名義で一般管轄裁判所、商事裁判所および仲裁裁判所に提訴すること。

3 法案第10条に規定されている手続きによる組織の債権者による請求の登記簿を作成すること。

4 組織の資産の目録を作成すること。

5 組織の清算価格を決定するために組織の資産の評価の実施を保障すること。

6 法案第11条に規定されている手続きによる分割形式での再編成を通じて組織の資産の代替を実施すること。

7 法案第13条に規定されている手続きによる分割形式での再編成を通じて設立される事業会社の株式(定款資本金の持ち分)の売却のための入札を実施すること。


Ⅷ 組織の清算又は破産

強制的清算及び(又は)破産の事由が存在している場合、外部管理は、部門間委員会に申請し、同委員会の同意を得てから5営業日以内に組織の破産を裁判所に申し立てることができる(法案第12条第1項)。

強制清算又は破産は、「倒産(破産)に関する」ロシア連邦法に規定されている手続きに従って行われるが、清算人又は破産管財人の職務は、行政管理が担うことになる。なお、対象となる組織に対する監視、財政健全化及び外外部管財の手続きは適用されず、適用可能である唯一の手続きは財産処分手続きのみである。


Ⅸ 法律の発効

法案によれば、公布日からそれが発効するものと想定されているが、法案第15条第2項の規定によれば、発行前にも外部管理を任命する可能性を伴う行動をとった組織に対しても適用される。

なお、ロシア国内のメディア[1]によれば、当該法案の審議は、早くとも5月までは行われず、審議には一定の時間がかかりうる。さらに、場合によっては当該法案が棚上げされる可能性もあるそうだ。他方、これまでの制裁対抗策は迅速に決定されることも非常に多く、当該法案も同様に今後迅速な審議が行われる可能性も十分残っている。

 
 
 

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